胃瘻から経口摂取へ
【ST いつか】
脳血管障害の後遺症がある方や、ご高齢の方のなかには、
必要な栄養や水分を、口から食べて摂取することが難しい方がいらっしゃいます。
そのような方たちに、必要な栄養や水分を摂取して頂くための方法の1つに、
経管栄養法というものがあります。読んで字の如く、管を経て栄養を送る方法です。
この経管栄養法はさらに、以下に挙げる3つの代表的な方法に分けられます。
1.経鼻経管栄養法(NG法)
2.胃瘻栄養法(経皮内視鏡的胃瘻造設術:PEG)
3.間欠的経管栄養法(IC法)
どのような状態の方に、どの方法を適用するかの明確な判断基準はないため、
個々の患者様の状態に合わせて総合的に判断され、適応を決めるのが一般的のようです。
今回は、私が担当させて頂いている患者様も適応されている、
2.胃瘻栄養法について、さらりと書きたいと思います。
胃瘻栄養法は、長期的に安定した栄養管理を可能にする方法で、内視鏡を用いて、
手術でお腹を切り開くことなく造設することが出来るようになってから、
広く普及した方法で、現在では日本全国で40万人ほどの方が適応されています。
この方法は、もう一度口から食べるための訓練の邪魔にならないこと、食べ物が
間違って肺の方にいってしまうことで肺炎が起きる危険性を低下させることなどが、
利点として挙げられます。
私がいる回復期リハビリテーション病棟でも、現在、2人の患者様に適応されています。
同じ回復期に勤める友人は、
「もう口からは食べられないでしょうと医師に言われて胃瘻を造った人が、
1日1食のお楽しみ程度でも、もう一度食べられるようになったときの、
喜びようが忘れられない」
と話していました。
私が担当させて頂いている患者様も、入院当初は全ての栄養や水分が胃瘻から、
という状態の方でしたが、お1人はお粥とミキサーにかけたおかずを1日3食、
もうお1人はお昼1食をミキサーのお粥とおかずで、召し上がって頂けるように
なりました。
まだまだ心配な点が多く、目が離せない状態ではありますが、
患者様に声をかけたり、口の中を清潔に保つケアをしてくれている看護師さんや介護士さん、
食事に適した姿勢を保つための筋肉をつけてくれているリハビリスタッフ、
もし肺炎になってもすぐに対処するからと言ってくれた院長、
患者様が食べやすい物を、差入れして下さっているご家族様。
たくさんの方々からの期待と力を頂きながら、
私も、このお2人が退院される時には、友人のようなことを胸を張って
言えるようになりたいと思います。