暗示

遠ざかっていく空
近づいてくる地面
絶え間なく 否応なく
流し込まれる風の唸り声
伸ばした手は何も掴めず
蹴りだす足は何も踏めず
信じられないほどはやく
じれったいほどゆっくり
おちていく私
   ◇
上が下に 下が上に
右が左に 左が右に
ぐるぐる ぐるぐる
ごろごろ ごろごろ
終わりの見えない階段を
転げ落ちる私
   ◇
ここ最近の悪夢の二本柱です
交互に または どちらかを続けて見てしまいます
普段ほとんど夢を見ない(見ても忘れているだけ? な)
私ですが 最近は毎晩うなされています
飛び起きて 早鐘を打つ心臓を胸の上から押さえながら
ふと隣に目をやると 睡眠大好きな嫁さんの にやけた寝顔があります
悪夢なんかとは無縁なことが 簡単に見て取れる寝顔です
半開きの口の中に入っている髪を そっと取り出しながら
なんだか間抜けな感じもする寝顔を眺めていると
いつのまにか 私の気持ちも落ち着いてきて
私は もう一度 眠ってみようと思えてきます
布団をかぶり直して 目を閉じて
ゆっくりと 呼吸のリズムを近づけていき
今度は 目覚まし時計の音で目覚めます

悪夢が暗示しているものは何なのか
その目星はついています ついているのですが……


いつか