認知症のおばあちゃん。その2

最近、入退院ラッシュで病棟内もバタバタしている.


今日もまた1人の患者様が退院された.



この方も認知症を呈している方で、
脚の骨を折ってK市民病院での手術後、リハビリ継続目的にて当院へ転院されてきた.



以前の日記でも認知症の症状は様々であると述べたが、
この方の症状もなかなか悩ませるものがあった.



口頭による指示がなかなか理解されにくい方にはジェスチャーや模倣を用いて、
簡単な筋力トレーニングや基本動作練習を行っていくのだが、
このおばあちゃんには模倣も不可能.
もちろん指示も通り難く、「起き上がりましょう」の一言に対しても、
こちら側が予想もできないような行動を起こすことも多々あった.



歩行練習も本来であれば、痛みや回復具合により、
平行棒内歩行から歩行器歩行そして、杖、できれば独歩(何もつかまらず歩く)など
歩行補助具を用いて段階踏んで行っていくものだが、
このおばあちゃんには杖も歩行器も利用方法などの理解が困難なので、
歩行練習も手つなぎや手すりを用いた練習、もしくは近位見守りによる独歩練習がほとんであった.


そんな中でも、徐々にバランスも良くなり、歩行時訴えていた手術側の脚の痛みも徐々に減ってきた.


このおばあちゃんの良いところは、とても笑顔が素敵なことである.
難聴も少しあり、会話は半分以下しか成り立たないが、
私のリハビリ(散歩しようと誘っていたが)の誘いにもほとんど拒否することなく、
いつもニコニコされていて、また可愛らしい話し方をされるので、いつの間にか私にとって癒しの存在になっていた.


幸いにもこのおばあちゃんは家に帰れることになった.
認知症の方が在宅に戻られるのは難しい場合が多いのだが、やはり家族の暖かな協力があってこそだと思った.



先ほど、最後のリハビリ?を行ってきたが、どうも今日退院して家に帰ることを理解していない様子.
明日からこのニコニコ顔を見れないと思うと少し寂しい気持ちになる.

1人で歩くにはまだまだ危ない場面もあるので、なるべく手つないで歩くように先日の退院カンファレンスで家族にお願いしたが、
介護保険サービスなど上手く利用し、家族もあまり無理しないよう過ごしてほしいと思う.
そして、おばあちゃんもまた転んで再骨折することのないよう、あのニコニコ笑顔でいつまでも元気でいてほしいと思う.




今日も明日退院される別のおばあちゃんの退院カンファレンスがあった.

そのおばあちゃんを囲むように家族とデイサービスのケアマネさん達など、
カンファレンス室が大勢の人で埋まってびっくりした.
このおばあちゃんも家に帰られるとのこと.


やはり、家族の協力、関わるスタッフの協力があってこその在宅復帰なんだと
改めて実感した.





PTぁゃゃ